あるところに二人の夫婦がいた。
美しい男と美しい少女は自然な成りゆきと
いくつかの偶然を交えながら恋に落ちます。
互いが互いを好きで。
それだけで世界の何もかもは、華やぎ、優しくなり、
まるでおとぎ話のような時間が二人に訪れる。
この世にこれ以上はないというほどの
美しい瞬間に、二人は永遠を誓う。
おとぎ話ならここでめでたしめでたしで終わるだろう。
けれど、人生はそうはいかない。
いつか少女は歳をとり。おばさんとなり、皺ができ。
生活の疲れはかつての美しさを蝕み、貧乏は彼女の心を僻ませ。
夫とのすれ違いは彼女の愚痴を多くする。
一方の夫も、頭は薄くなり。腹が出て。
いつでもどこか遠くを見ていた夢見がちな瞳は
ただ、日々の暮らしの往復を映すばかり。
あれほどみずみずしくお互いに満ちていた想いはどこかに消え失せて。
二人はほとんど話すことすらなくなりました。
いつか見た、あの美しいおとぎ話の面影すら、そこにはない。
物語はどこにいったのか?